印西インターネット教会

生き抜く奇跡

前に話した「運命を分けたザイル」という映画の事です。あれは実話ですが、わたしには奇跡としかおもえません。シウラグランデ山という南米の6千メートル級の雪山で、難関と言われた西側の絶壁を二人が初踏破したあと、下山途中のジョー・シンプソンは10メートル落下して片脚を骨折して歩けなくなってしまいます。一緒に登ったサイモンも必死で彼をロープで下ろして行ったのですが、途中のオーバーハングで動けなくなり、二人とも落下する恐れがあったので、サイモンはジョーのザイルを切りました。これは残酷なようですが登山家のとる非常手段だそうです。落下したジョーは幸いにも生きていましたが、落ちた先は暗いクレバスの中でした。これが、英語のタイトルである「TOUCHING THE VOID」(虚空に触れる)かもしれません。骨折した脚の痛みに耐え、クレバスの出口を目指してジョーは這っていきました。幸に、クレバスを抜け出すことができても、そこは一人で進むには危険な氷河の割れ目地獄が広がっていました。ジョーは何かの音楽に促されるように這ってベースキャンプに向かったのです。その時のことを思い出して語るジョーの言葉に感銘しました。気が遠くなるほどの危険な氷河上の道のりに対する対処法として、彼は20分で身近に見える目標まで這って行こうと決心したのです。あとは、それを繰り返すだけです。画像を見てみればそれがどんなに大変な事だったかわかります。でも、この方法は、違った面で、健康や経済やその他の難関に直面している者に生き抜く方法を示すものだなと感じました。そして、困難の果てに、仲間たちがベースキャンプを撤収する直前に叫びをあげることができ、救出されたのです。本当に奇跡的な実話だと思いました。また、生きる勇気を与えてくれる話だと思いました。体感温度零下60度で、暗いクレバスに閉じ込められ、脚の骨折だけでなく落下による全身打撲の痛みと出血による脱水症状に耐え、食料も水もなく、最も危険なクレバス地獄の上を這って帰還したのです。彼の事を思ったら、電気も食料も安全な道もあるわたしたちには多くの事がまだ可能なんだと、確信させられました。この映画に感謝です。

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