閑話休題

レオニード・イワショフ退役上級大将の言葉

ロシアのレオニード・イワショフ退役上級大将が、ウクライナ進攻に関して、「プーチンは謝罪すべきだ」と言っています。勇気あるコメントだと思いました。そして、全文を読むと、ロシアにもこんなに頭脳明晰に考える事が出来る人物がいるのだと感慨さえ覚えます。ロシアを世界から孤立させる今回の戦争は、全く国益にかなっておらず、戦略的に失敗であるというものです。戦略的という面では、レオニード・イワショフ退役上級大将が興味深い点を指摘しています。彼が言うには、現在のロシア軍を動かしている指導者は素人であり、アメリカなどはプロの戦略家が、この戦争を通してロシアを弱体化させ、アメリカとヨーロッパ諸国との結合を揺るぎないものにしているというのです。要するに、目先の利益と自分の保身の為に戦争を起こしたプーチンは、それを完全に予期していた西側諸国の罠にはまってしまったのです。これは、約80年前の太平洋戦争にも似ています。枢軸国を除いた世界各国から経済封鎖を受けた日本は、すでに中国大陸で覇権主義を行っていました。そして、経済封鎖は、そのような国を世界戦争に導き、解体する罠だったのです。それを考えると、今のロシアへの経済封鎖も、世界戦争、特に核戦争、への引き金にならないとも限りません。わたしたちは祈ることしかできません。ロシアの一般の人々が、イワショフ退役上級大将の言葉を理解して、戦争反対に向かう事を願うばかりです。聖書にもこれに似た、戦略の話がでています。それは、ダビデ王の息子アブサロムが反乱を起こし、ダビデを討とうとしたときのことです。アブサロムの陣営で戦略会議がありました。奇襲を受けたためダビデ王はすでに難攻不落なエルサレムから逃亡していました。しかし、ダビデ王は自分に好意的な将軍であったフシャイを残しておきました。アブサロムが入城したときにフシャイは偽りの忠誠を誓いました。そして、ダビデを追撃する戦略を練る会議が開かれた時に、アブサロム直属の将軍アヒトフェルは即時出撃を提案しました。一方、ダビデに時間を与えようと心の中で思っていたフシャイは、まずイスラエルの全軍を召集してから追撃することを提案しました。その最後の場面についてこう書かれています。「アブサロムも、どのイスラエル人も、アルキ人フシャイの提案がアヒトフェルの提案にまさると思った。アヒトフェルの優れた提案が捨てられ、アブサロムに災いがくだることを主が定めたからである。」(サムエル記下17章14節)この記事に於いて、聖書の神学がハッキリ示されているのは、「アブサロムに災いがくだることを主が定めたからである。」という部分です。神様は、悪の跳梁を忍耐をもって赦していますが、無期限ではありません。ロシア皇帝も革命によって滅びました。フランスの王家の人々も革命によってギロチン台の露と消えました。現代の独裁政権も、やがて滅びるように神は定めておられるのです。それだけでなく、わたしたち自身の神への感謝を忘れた生き方に、死という裁きが来るように、神は定めておられるのです。ここの理解があってこそ、イエス・キリストの愛による犠牲の十字架、その贖罪性の深い神学的意味が把握されるのです。ロシアのウクライナ侵略は、わたしたちを悔い改め(自己中心性から神中心性への方向転換)に導く、「他山の石」なのです。

-閑話休題