閑話休題

ロシアのキリル総主教が制裁対象になった

英国政府は、ロシアのキリル総主教を制裁対象にしました。それにしても、ひどい話です。キリル総主教は、ロシアの青年たちが動員されてウクライナで戦死しても、その血は贖罪の働きをするから大丈夫だと宣伝しているのです。まあ、相手はロシア正教であって、同じキリスト教ではありませんが、聖書の教えに従うならば、どうしてこんな荒唐無稽な発言ができるのでしょうか。それは、神ご自身が、狂うべきものを狂わせているとしか思えません。イエス・キリストの架刑の際にも、その先頭に立って画策したのは、ユダヤ教の祭司長たちでした。わたし自身もルーテル教会で40年ほど牧会してきて、痛感するのは、組織化した宗教制度の矛盾です。悪ともいえるでしょう。また、ロシア正教の総主教の発言の誤りを指摘する信者がいないことも恐ろしいことです。ルーテル教会でも、かなり前には総会で組織に対する批判意見も出ていました。しかし、組織維持のための力が働き、何も言わないニコニコ・ヒゲおじさんのような人物が尊重されるような団体になってしまいました。アメリカの神学者であったラインホールド・ニーバーなども述べていますが、個人個人としては尊敬すべきクリスチャンや宗教家であっても、ひとたび宗教団体となると変質するものです。おそらくロシアの総主教もその一人でしょう。イエス・キリストの処刑を決めた祭司長も、普段の生活では、ニコニコ・ヒゲおじさんのような人物だったかもしれません。日本の宗教史をみても、蓮如のような優れた組織者がいない限り、組織は形骸化し本質を失うものです。最近の国葬でも国民の意見が分かれましたが、政治でも同じようなことが起こります。アダムとイブという複数者によって原罪が発生したように、どの世の中でも、単独者になることを恐れないようにしなければなりません。

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