閑話休題

ガザの思い出

今から40年くらい前の話です。ルーテル世界連盟の奨学金でイスラエルに留学したことがありました。住んでいたのはエルサレム市内のレホブ・ハ・ナビーム(預言者通り)にあるスウェーデン神学研究所でした。そこからイスラエル各地へ研修ツアーにいきました。そのころにもガザ地区にはパレスチナ人が住んでいましたが、地域を分断する大きな塀もなく、生活はいたって平和なものでした。ガザは地中海沿岸の地域ですので、わたしがアシュケロンに行った時にも近くに浜がありました。すると、ローマ時代のものと思われる壺の取っ手が浅い海の中にあったのです。ガザも長い歴史を持った場所だなと思いました。ただ、現在のガザの状態を見ると悲しい思いになります。あの頃は、平和共存していたユダヤ人とパレスチナ人たちが戦争しているからです。ネット上に、10月6日のパレスチナのハマスが行った残虐行為の目撃証言がたくさん出ています。これを見てみますと、ハマスの行為は軍事作戦というより、アラーの神を信奉する彼らのユダヤ人虐殺計画にすぎなかったことがわかります。証言者のひとりは、2023年になって再びホロコストが行われるとは思わなかったと言っていました。憎しみが憎しみを生んでいます。音楽コンサートに参加していた多くの市民が理由なく虐殺された動画を見て、ハマスに憎しみを抱かないユダヤ人はいないでしょう。そして、すべての民の滅亡を望んでいる闇の勢力の計画が進行するのです。わたしたちにはこれを止める力はありません。人間は元来、原罪を負っているからです。残されるのは、神の救いの手が差し伸べられることです。わたしたちの武器は強さではなく弱さと信仰です。これに対抗できる闇の勢力はありません。ガザが以前のように平和共存の社会になることを願ってやみません。

-閑話休題