閑話休題

ジュリエット・ビノシュ、円熟した演技の裏にある女優哲学

ジュリエット・ビノシュのインタビュー記事を見ました。彼女は世界の三大映画祭で、すべて主演女優賞をとった特異な人物です。彼女が主演した「汚れた血」、存在の耐えられない軽さ」、「ポンヌフの恋人」などの作品が有名です。ですから、彼女の演技に関する哲学を知るのも興味深いことでした。彼女にとって美とは何かと聞かれると、「山のように静かで落ち着いていて、太陽のように活気に満ちていること」だと答えています。これは、まさに、彼女自身が映像を通して伝えていることです。また、人生で最も大切なことは何かと聞かれ、こう答えています。「愛よ。それ以上のものはないわ。あらゆる形の愛。愛するということを通して、多くを知ることができる。瞬間瞬間を楽しむこと、自分が変わっていくことを愛し、そのまま受け入れること。大変なことだけど、でもそれが大切なのよ。」聖書にも愛についてこう書いてあります。「これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである。わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。」(ヨハネ福音書15章11節以下)ジュリエット・ビノシュは単に演技がうまいだけの女優ではなく、愛の意義を知った女優でした。同じように言えることは、説教です。説教は演技ではないですが、伝達手段ではあります。その説教が、単なる説明や、知識のお披露目、権威主義に染まっているときには、愛の伝達に失敗しているといえます。伝道不振の原因にもなっていると思います。神の言葉を伝える者が、山のように静かに、太陽のように心を躍動させ、深い愛をもって伝達したならば、この世の試練で苦しむ者がどれほど多く救われることでしょうか。

 

 

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