閑話休題

故野村監督のつぶやき

2020/10/10

故野村監督のつぶやきを読みました。他のチームの監督たちについて、このように厳しく述べています。「彼らからは監督としての思想、哲学が感じられない。組織はリーダーの力量以上には伸びないんだから」(野村克也)確かにそうかもしれません。今年の高校野球はコロナのために残念なことになりましたが、ずっと昔、徳島県の池田高校が覇権を争った時代がありました。あの場合も、お金や豪華な設備でで選手を集めたのではなく、山間の小さな高校でも、そこで指導する監督に「野球の思想、哲学」があったからだと思います。日本のキリスト教も、明治時代には、海外の協力を得て高等教育の普及などに大きな影響を及ぼしてきました。しかし、残念なことに、内村鑑三氏など少数の者を除いて、「宗教の思想、哲学」が弱いために、キリスト教の良さを伝えてこれてはいません。日本のキリスト教も、リーダーの水準以上には伸びることはないでしょう。これがわたしのつぶやきであり、良きリーダーではなかった自分の反省でもあります。最後になりますが、最近、ロバート・シューラ―の「あなたの教会は必ず成長する」を再読して、キリスト教のリーダーの在り方を考えさせられました。正直な話、正統的プロテスタント主義に立ち、生粋のルーテル神学を学んだわたしには、ロバート・シューラ―がどんなメガ・チャーチを形成しても、新興宗教ぐらいにしか思ってなかったわけです。しかし、彼の著作を再読して見て理解できました。これは、野球チームでも同じでしょう。伸び悩む集団には、障害となっている原因があるのです。優れたリーダーとは、この原因を発見し、取り除く方法を考案することのできる人です。前述した内村鑑三氏は問題の所在を捉えていましたが、ロバート・シューラ―のようにそれを除去する方法を考案しなかったので、単なるキリスト教思想家にとどまったのです。繰り返しになりますが、リーダーの力量とは、成長を阻害する原因を発見し、取り除く方法を考案することのできる力です。随分前に、本田宗一郎氏の伝記を読んだときにも、これを強く感じました。

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