閑話休題

土方歳三とカスター将軍の共通点

最近、コロナの勢いがまた強くなっていて、ステイホームとなっている。時間があるので、ユーチューブで古い西部劇を見た。1964年制作なので、東京オリンピックの年だ。これは、第7騎兵隊を指揮してインディアンと闘ったカスター将軍の映画だった。英語の題名は、CUSTER OF THE WEST(西部のカスター)となっている。これを見ていて、日本の新選組のヒーローであった土方歳三との共通点を発見した。その共通点の第一は、なんといっても、二人ともヒーローでありながら、最後は戦いの中で戦死した悲劇のヒーローであることである。それだけではない。この二人は、150年以上前の人物だが、古い写真も残っている。勿論、二人は、アメリカ人と日本人という事であり人種も違う。しかし、ここにも共通点がある。それは、二人の風貌である。二人ともかなり外見には気を使っていた人物であったそうで、なかなかおしゃれでもあるが、よく見ると、その眼光には、恐れを知らない闘志と威厳がみなぎっている。土方歳三の場合には、八王子教会で牧会していたときに、教会の近くにも土方姓の家があったし、日野の駅の近くには、彼と新選組になる前の同僚たちが稽古していた道場が残っている。さらに、教会の近くにある大和田橋は、敗戦を重ねた新選組が甲府で新政府軍と闘うために行軍していった場所でもある。一方、カスター将軍は、アメリカのモンタナ州にあるリトルビッグホーンという場所で戦死したのだが、この場所の近くをグレイハウンドバスで旅行したこともある。それに、カスター将軍たちの第7騎兵隊が戦ったインディアン連合軍の一部であるスー族は、アメリカ留学時代にその居留地に行ってボランティア活動をしていたのでよく知っている。映画のなかで、カスター将軍が脱走兵を尋問する場面がある。この脱走兵は、軍の生活が嫌で当時発見された砂金などをさがして自由に暮らしていきたかった。カスター将軍が彼を非難すると、この脱走兵は言った、「自分の頭の中には、夢がある。楽しい生活や、美しい風景。ところが、あんたの頭の中は、冷たい規則や命令、義務のようなものばかりでいっぱいだ。」翌朝、この脱走兵は規則に従って射殺された。土方歳三も似ている。新選組の副長として隊規に反した者は容赦なく惨殺している。あの、勇猛果敢な姿は、どんな誤りも赦さない厳しさの反映だったのかもしれない。聖書の中で、悲劇のヒーローを探すとなると誰になるだろう。パウロもある面ではヒーローだが、土方とかカスターとは違う心構えを持っていた。土方やカスターに近いのは、士師の一人であったサムソンだろう。イスラエル軍がカナンの地を侵入して後、多くの戦いがあった。まだ、ダビデ王朝のような強大な権力が台頭していなかったので、その時々、地方の指導者(士師)が次々と登場して戦いを先導した。その一人が、怪力であったサムソンである。「サムソンがレヒに着くと、ペリシテ人は歓声をあげて彼を迎えた。そのとき、主の霊が激しく彼に降り、腕を縛っていた縄は、火が燃えている亜麻の糸のようになり、縄目は解けて彼の手から落ちた。彼は、真新しいろばのあご骨を見つけ、手を伸ばして取り、これで千人を打ち殺した。」(士師記15章14節以下)その英雄サムソンも、デリラという女に騙され、ペリシテ人たちに捕虜にされながらも、最後は自らの命を捨てて彼らと闘って死んだ。英雄の死は寂しいものである。しかし、ここがパウロとの違いかもしれない。パウロもローマで英雄的な死を遂げたが、彼の死は寂しいものではなかった。彼が伝えた福音は今でも喜びのうちに語り継がれている。

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