閑話休題

アルブミンと天地創造の神秘

コロナで自衛隊中央病院に入院している母の主治医から電話がありました。胸水が溜まってきているので栄養剤を入れていた中心静脈カテーテルからアルブミンを注入しても良いかどうかの問い合わせでした。なんでこんなことを家族に聞くのかと思いました。ただ、医者の説明を聞いてわかりました。献血の血から抽出した血液製剤には、肝炎、HIVなどの危険がともないます。医者の話では、そうした既知の病気は細かく検査して排除しているが、未知の病気の存在も完全には否定できないので、血液の中のたんぱく質の一種であるアルブミンも投与する時には家族の承諾が必要だという事でした。これは了解しました。それにしても、アルブミンとは何でしょうか。血漿の中に含まれている成分の多くはアルブミンです。アルブミンを検索して理解できたのは、アルブミンが血液の浸透圧を調整するという事です。血液には栄養をはじめ高濃度の物質が含まれています。もし、アルブミンが存在しなければ、水分というのは浸透圧によって濃度の高い方から低い方に流れてしまいます。これは、中学校の理科の実験などで体験した方もおられるでしょう。実験ならまだしも、実際の体の中でそれが起こったら、血管内の水分が体の細胞の方に流れ出てしまいます。これを押さえて調整しているのがアルブミンです。しかし、栄養不足などでアルブミンの量が減少すると、実際に血管中の水分が外部に流出して、体のむくみや胸水などを起こすわけです。これを知って、体の構造は実に細やかなものだと感じました。余談ですが、血液の中の血小板は真ん中が凹んでいます。これは、できるだけたくさんの酸素を運ぶために表面積を多くして、体積を減らす工夫だそうです。これも、造形の神秘とも言えるでしょう。旧約聖書の時代の人々は、近代医学の知識は持っていませんでした。しかし、創造者の行う神秘には畏敬の念をいだいていました。「主よ、御業はいかにおびただしいことか。あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。地はお造りになったものに満ちている。」(詩編104;24節)「主よ、あなたの創造物は何と多いことだろう。すべてのものを巧妙にあなたは造った。全宇宙はあなたの被造物で聖別されている。」(同箇所、私訳)特に最後の聖別の部分には、割礼の用語であるヘブライ語のMLが用いられていますので、「満ちている」よりは、「聖別されている」とか「完成されている」と読んだ方が適切でしょう。ですから、アルブミンの機能に限らず、わたしたちは創造主の神秘にかこまれて生活しているのだと実感せざるを得ないのです。

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