印西インターネット教会

あなたのための短歌と、あなたのための説教

木下龍也さんの「あなたのための短歌集」が注目を集めています。コロナ禍で苦しむ人たち一人一人の心に沿った短歌を作成して送っているようです。そして、その31字の文言が、一条の光となって慰めと励ましを与えています。誰にでも向けられた句ではなく、個人の特注という点がスゴイと思いました。木下龍也さん自身も、自分の挫折体験を一つの糧として、悩む人に寄り添う歌を詠んでいます。素晴らしい事だとおもいます。さて、では教会の説教はどうでしょうか。わたし自身は、説教集などもたくさん読んだこともありますし、板橋ルーテル教会で牧会していたころは、都内の他教派の教会の夕礼拝に出席して、他の先生方の説教から多くを学びました。その中でもわかったことですが、優れた説教というものも、木下龍也さんの短歌に似ていて、私自身に語りかけられているように感じます。しかし、残念ながら、そうした説教は少ないようです、わたし自身もそうした能力に欠けていると思います。ただ、一度こんな経験をしました。ある日曜日の説教の後、教会員がわたしのもとに来て、「今日の説教でわたしが裁かれているように感じました。先生はわたしを非難したのですか」と言われたことがあります。これは福音伝道としては失敗した例です。もしその時、「わたし自身が励ましを受けているように感じました」という感想がかえってきたら、木下龍也さんの短歌と同じように、慰めの光を点じたことになるでしょう。転じて、説教を聴いたり読んだりする立場としても、「自分自身に語られている」と考えていくと、信仰の成長に役立ちます。

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