ロシアと月山富田城との運命の共通点
戦国時代の城で、最強と言われていたのはもちろん大阪城でした。しかし、この城も家康の策略によって堀を埋められ、滅亡しました。さて、戦国時代の最強の城として2位にランクインされている城は、山陰地方の月山富田城です。この城は、島根県安来市の標高190メートルの山頂に築かれていました。遺跡の写真を見たらわかりますが、誰が見てもこの城を攻め落とすのは不可能と思えるくらいの難攻不落の城でした。ところが、この屈強な城も、毛利軍の包囲戦によって陥落しました。城が堅固であればあるほど、周囲の地域には出にくいものですし、周囲からの援助も受けにくいものです。ですから一旦包囲されてしまうと、兵糧が尽きるのは時間の問題です。目を現代の社会に移してみましょう。強国ロシアが、弱小国ウクライナを侵略しています。そして、時には核兵器の使用という脅しまで使っています。ある面ではロシアが、難攻不落の月山富田城のようなものです。しかし、この無敵とも思える国家も、周囲の国々から孤立したら、存在し続けることができるでしょうか。月山富田城を守る兵士たちは食料が尽きて投降しました。そして城にいた尼子氏は滅びました。ロシアが、今後も経済制裁を受け続けるならば、兵器の部品も調達できず、国内の産業は衰退し、国民は疲弊を訴え始めるでしょう。包囲されたら負けてしまうのが、戦国時代の常識です。今は、ロシアに対して、それが世界規模で起こっているのです。聖書の時代には、エルサレム包囲という事件が起こっています。「都は包囲され、ゼデキア王の第十一年に至った。その月の九日に都の中で飢えが激しくなり、国の民の食料が尽き、都の一角が破られた。」(列王記下25章2節以下)難攻不落と言われた城塞都市エルサレムも、2年間も包囲されて滅亡したのです。城塞内の住民は、激しい飢えにおそわれ、自分の子供を殺して食べる者もいたと記録されています。おそらく、西欧諸国のロシアへの包囲は今後も続くでしょう。そして、退路を断たれたロシアは、世界の各国との友好関係なしに、国家は存続できないという自らの運命を自覚することでしょう。