クリスマスは年に2回ある
普通に考えると、12月24日がクリスマス・イヴであり、25日がクリスマスです。ところが、スペインなどでは1月6日の顕現日にクリスマスを祝います。つまり、世界には12月25日をクリスマスとする国と、スペインやギリシャなどのように1月6日をクリスマスとする国があるのです。これはどうしてでしょうか。歴史的な背景を見てみると、ローマを中心とした西方教会と、ビザンチンを中心とした東方教会の伝統の違いが考えられます。元来のクリスマスである、イエス・キリストの誕生という日は、1月6日の前後らしいのです。ところが、キリスト教がヨーロッパ北部に広がった際に、その地方で既に祝われていた冬至の光の祭典をとりいれて、救い主の誕生日としたわけです。東方教会の方は相変わらず1月6日を救い主の誕生日としたので、一年にクリスマスは2回お祝いされることになりました。これには少し困った教会暦の作成者は、12月25日から1月6日までを12夜とし、クリスマスを一日ではなく一つのシーズンとして祝うことにしたのです。その後、フィンランドなどでは「毎日クリスマス」などという歌まで作られることになりました。その意味は、救い主の誕生は心の中での出来事でもあるので、毎日お祝いすることが可能となったのです。ただ、こうなってしまうと、クリスマスは特別な日ではなくなってしまいます。それは、少し淋しい気もします。わたしたちは年に二回のクリスマスで十分なのではないでしょうか。余談ですが、お正月も西暦の正月と、太陰暦の正月という形で年に二回の正月がありますね。これを味わいたい人は、中国に行けばいいのですが、コロナの問題もありますから、横浜の中華街でその雰囲気を味わうことができます。