閑話休題

自民党安倍派の裏金問題

政治と金とは切り離せないようです。政治活動をするには莫大な資金が必要です。大正生まれの母から昔聞いた話ですが、まだ金に潔癖な時代の地方の政治家は、政治活動を維持するために親から受け継いだ莫大な財産をすべて使い果たしてしまったそうです。民衆の利益のために、あえて自己の不利益を選んだのですね。公害闘争で知られている田中正造も同じでした。貴族院議員の立場を捨てて、足尾銅山公害に苦しむ人々のために立ち上がったのです。その言葉が彼の日記に残されています。「独り聖人となるは難からず。社会を天国へ導くの教えや難し。」彼はまさに心貧しき政治家だったわけです。金もなくホームレスのように死んだときには、ふところに二三の小石と小さな聖書を抱いていたそうです。それに比べて、現在の政治家は、金になるものは何でも利用しようとしています。旧統一教会との関係の原因も金です。そうして考えると、田中正造は精神的には豊かな人であり、現代の政治家は貧しいのだと言えるでしょう。そして、同じ原罪をもつわたしたちも、心が貧しくないとはいえません。聖書では、金の危険性が説かれています。「だれでも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなた方は、神と富とに仕えることはできない。」(マタイ福音書6章24節)ちなみに、聖書が説く神とは、正義と愛のことでもあります。いまの政治に欠けているのは、苦しむ民衆に対する正義と愛の政策でしょう。

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