印西インターネット教会

白鵬と北青鵬の失敗

宮城野部屋の力士、北青鵬の暴力事件が問題になっています。それだけでなく、北青鵬の指導者であるべき元横綱白鵬の責任問題にまで発展しています。色々な人の書き込みを見ると、なかには北青鵬を甘やかした白鵬の態度に理解を示す意見もあります。わたし自身は、3年ほど前に初めてテレビで北青鵬を見たときに、北海道出身ということで、かつての横綱大鵬の子孫かと思ったほどでした。ただ、実際はモンゴル生まれで、北海道で育ったということでした。それにしても、北青鵬は大鵬と同じような恵まれた体格で、将来が楽しみだなと思ったことでした。その背景として、偶然の出会いから、白鵬が北青鵬を力士に育てていったという事実があります。まるで我が子のように、同じモンゴル出身の逸材を小さいころから見守っていったのです。そして、彼が成長し、宮城野部屋に入ると特別の待遇を与えました。暴力事件のことも知らなくはなかったと思いますが、我が子のように可愛がっていた北青鵬のことですから、大目に見ていたのでしょう。そして、まさかこの事件が、相撲界での自分の地位に壊滅的な打撃を与えるとは思いもよらなかったことでしょう。なぜなら、すべての原因は特定の弟子を溺愛することにあったからです。さて、これは親方と弟子の関係ですが、実際の親と子の関係にも、類似性は見られなくはないでしょう。聖書を見ますと、親子の間に同様の問題が起こっています。最初に考えられるのは、ダビデ王とその子アブサロムの問題です。「イスラエルの中でアブサロムほど、その美しさをたたえられた男はなかった。足の裏から、頭のてっぺんまで、非のうちどころがなかった」(サムエル記下14章25節)と書かれています。白鵬が北青鵬を可愛がっていたように、ダビデもアブサロムをいつくしんでいました。ところが、アブサロムの兄弟間で問題が生じました。当時は、王の子である王子たちはたくさんいたのです。まるで、相撲部屋の弟子たちみたいなものです(笑)。北青鵬と他の弟子たちの問題は悪質ないたずらのような暴力事件でしたが、アブサロムの場合には兄弟間の殺人事件にまで発展しました。それを、親であるダビデ王がうまく処理すれば、問題がさらに深刻化しなかったと思います。しかし、それに失敗し、最後にはアブサロムによる軍事反乱と、鎮圧、アブサロムの戦死という結果になりました。自分に反抗して軍事反乱したアブサロムの死を伝え聞いて、ダビデ王が悲しんだということは、彼がアブサロムを溺愛していたということのしるしでしょう。これはダビデ王の大きな失敗でした。聖書に出てくる、もう一例の失敗例は、ヤコブとその子ヨセフの問題です。ヤコブには12人の息子がいましたが、ヨセフは末子であり、ヤコブが最も愛した妻ラケルの子でした。ヤコブもまたヨセフを溺愛していました。「イスラエル(ヤコブ)は、ヨセフが年寄り子であったので、どの息子よりもかわいがり、彼には裾の長い晴着を作ってやった。兄たちは、父がどの兄弟よりもヨセフをかわいがるのを見て、ヨセフを憎み、穏やかに話すこともできなかった」(創世記37章3節以下)と書かれています。ですから、おそらく、宮城野部屋の中で、北青鵬以外の弟子たちも、白鵬が北青鵬だけを特別扱いし、自分たちの訴えには耳を貸さなかったので、北青鵬を憎み、彼の問題を外部機関に訴えたのでしょう。ここでも、ヤコブの失敗と白鵬の失敗には共通点があります。それだけでなく、わたしたち自身の家族関係や、すべての人間関係で、特定の人だけに好意をしめすと、このような問題が生じるのです。甘やかした白鵬と甘やかされた北青鵬の失敗は、わたしたちの人間関係の問題の根源でもあると聖書は教えています。

 

 

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