印西インターネット教会

映画のラストシーンと人生のラストシーン

コロナの影響下なので、映画のDVDを借りてきて、自宅でイタリア語の学習をしたり、中国語や英語のブラシュアップをしたりしています。今回のテーマはラストシーンです。印象的なラストシーンといえば、「シェーン」という西部劇のラストシーンが忘れられません。さて、今回借りてきたいくつかのDVDは、「家族を想うとき」(英語)、「幸福なラザロ」(イタリア語)、「王妃の紋章」(中国語)、「存在の耐えられない軽さ」(英語)、などでした。「存在の耐えられない軽さ」を除いては、ラストシーンが自分にはしっくりこないものでした。ところが、「存在の耐えられない軽さ」は、表面的に見れば、トマシュというチェコの医者の恋愛遍歴物語に過ぎないのですが、ラストシーンがあまりにもクールで、忘れられない映画となりました。トマシュが運転して雨の中を車で走っていく時に、同乗していいた恋人のテレザが「WHAT ARE YOU THINKING?」(何考えているの)と聞くと、トマシュは「I AM THINKING HOW HAPPY I AM.」(とても幸せだと思っているんだ)、と答えます。そして、二人の眼前に延々と続く雨に煙る薄暗い道がフェイドアウトしていきます。これがラストシーンです。説明するとネタバレになってしまうので、そのままにしておきますが、前後の状況を知ると、なんとも胸を打つ場面だとわかります。最後の言葉が、「HAPPY」なんて素敵な事ではないでしょうか。トマシュが求めていたのは、金でも地位でもなく、「HAPPY」だったのです。これは、映画のラストシーンですが、わたしたちも一人一人が人生のドラマを生き、役割を演じています。これは厳粛な事実です。そして、やがて必ず迎えるのは人生のラストシーンです。ラストシーンが良くなかったら、その人に金や地位や家族があったとしても、人生は駄作だったと言えるでしょう。時間の浪費です。しかし、残念ながら多くの人は、駄作のラストシーンを無意味に迎えています。クールな人生のラストシーンを迎えるには、宗教心が不可欠だと思います。自分にはキリスト教ですが、仏教や回教の人も、豊かな信仰心があるときに、それぞれの印象的なラストシーンを持つことができるだろうと思います。皆さんも考えてみてください。あなた自身の人生のドラマを。駄作で終わらせないためには、あなたという監督、あなたという俳優の腕が大切なのです。聖書の中のラストシーンとしては、「出エジプト」の苦難の後、ピスガの山の山頂で、約束の地を遠望して生涯を終えたモーセの姿が印象的です。「モーセは死んだとき120歳であったが、目はかすます、活力もうせてはいなかった。」(申命記34章7節)

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