アンダー・ウォーターボーイ体験記
前にも書いたかと思いますが、わたしの出身高校は埼玉県立川越高校です。ここには県内でも珍しい50メートルの公式プールがありました。それで、後に、水泳部が中心になってウォーターボーイズ(男子シンクロ)を結成したのです。これはテレビでも報道されましたし、映画にもなりました。女子もいればいいのですが、なにせ、未だに男子校ですからね。さて、英語ではトップドッグと言えば勝ち組の意味です。そして、アンダードッグといえば負け組です。じつは、自分がまだ高校生の頃、この公式プールで、アンダーウォーターボーイになってしまったのです。その事件はこうして起こりました。とても脚が立たない水深の公式プールのど真ん中で、誰かの水しぶきをまともに受けて、それを肺まで吸い込んでしまい、おぼれかけたのです。助けを呼ぼうにも声が出ません。もがいても、沈むばかりです。ところが、プールの底に立って、上にきらめく水面を見上げた時に、天啓がくだりました。「上がろうと思わなくていい。」つまり、アンダードッグでいい、アンダーウォーターボーイでいいよという事だったのです。それからの自分の行動は、いま思い出しても滑稽な姿でした。まるでスーパーマリオのように、水底をトコトコあるいて縦断し、プールわきに上がることができたのです。あのままもがいていたら溺死したかもしれません。ですが、この体験はその後の人生でもおおいに役立つことになりました。子供のことや、健康の事、経済の事、仕事の事、人間関係などで困難があっても、バタバタもがいたり、悩んだりしないのです。逆に、上に行こうとしないで、自分をアンダードッグとして受容し、着実に地に足をつけていけば前進するのです。大きな負債から立ち直ったあるビジネスマンの言葉にこうあります、「たとえおちょこでも、それで汲み続けていったら、大きなプールの水だって、空にすることができる。」コロナで辛い思いをしておられる方もいらっしゃると思いますが、人生の底はあなたを必ず支えてくれるでしょう。そこは神の手のひらなのです。仏教の方なら、仏の掌と言うでしょう。わたしの小さなアンダーウォーターボーイ体験記を読んでくださってありがとうございました。