聖書研究

嘘を言っても裁かない神

創世記12章には、アブラハムの長い旅のことが書かれています。故郷のハラン(現在のイラク周辺)を出て、イスラエルを通過し、最後はエジプトまで行ったのです。そこで問題が起こりました。妻のサライが美人だったので、妻だと言えばアブラハムは殺されてサライが奪われるかもしれない。そこで、アブラハムはサライと相談して、サライは自分の妹であるという嘘をつくことにしたのです。やがて、サライはエジプト王の後宮に入れられ、王の側室になるところだったのを、神が宮廷に疫病を蔓延させ、サライをアブラハムのもとに返してくれたという話です。不思議なことに、アブラハムはこの事によって財産を増やし、地位も保証されたのです。あのまま、サライが宮廷でエジプト王の側室としておわっていたら、その後の聖書もなかったし、イエス・キリストも生まれなかったわけです。神は、自分の身の安全が確保されて、人間的にはホッとしていただろうアブラハムに、サライを戻し、約束の地に入るように計画されたのではないでしょうか。嘘をつかれたエジプト人の側にはとても迷惑だった事ですが、アブラハムにとっては生き残るための切実な嘘であり、二人で相談しただけでなく、神にも祈った結果でもあったことでしょう。ここは何度読んでも、嘘を許し、それだけでなく祝福に変えてくださった神の温情と、グレートな存在に思いをはせることのできる場面です。

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