印西インターネット教会

アメリカの大統領選挙がまるで南北戦争

アメリカの南北戦争は国を二分しました。その傷跡は今も残っています。わたしがアメリカに留学していたときにそれを感じました。南部のニューオリンズでキリスト教の集会があり、北部にあるミネソタ州の学校の同級生たちと共にマイクロバスで二日間の旅をして、そこに向かいました。途上のアーカンサ州のリトルロックという南部の町で、昼食のために皆でレストランに立ち寄りました。食事をしている際に、仲間の一人が、壁に掛けてあった南北戦争時の南軍のリー将軍の大きな肖像に気づいて馬鹿にしました。学生たちは北部出身であり、尊敬するのは北軍のリンカーンだったからです。ひと時、南北戦争のことで話題が盛り上がりました。すると、頭の切れる一人の学生が、指で「シイー」のしるしを投げかけたのです。まわりを見回すと、大きなレストランでしたが、それまで賑やかに談話していた人々が急に静まって、我々の会話に耳を傾けていました。状況を察した別の学生が、「LET’S GET OUT OF HERE‼」(すぐ出よう)と言ったのです。わたしたちは、食事を中断して急遽レストランを出ました。恨みをいだく南部の人間に路上で攻撃される恐れがあったからです。そのとき、わたしの頭にひらめいたのは、「イージーライダー」という映画のラストシーンでした。北部の人間が、些細な事から南部の人間に射殺される場面です。南部と北部の軋轢は今も残っています。150年ほど前の南北戦争では、工業化した北部の州と、農業中心で奴隷労働を必要とした南部の州とが対立しました。今回の大統領選挙でも、政党の支持基盤を示す地図を見ると、北部の都市と、南部の農村との対立になっています。ただし、南部の諸州は、バイブル・ベルトとも呼ばれ、キリスト教の信仰心の厚い人々が住んでいます。聖書には、「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする。」(ヨハネ福音書8章32節)と書いてありますが、真理を知っているはずの人々が、強い保守傾向を持っているのは残念なことです。イエス・キリストの教えではなく、組織化された宗教はむしろ、人をして保守化させるのではないでしょうか。キリストを処刑したユダヤ教がそうでした。前に、「白いリボン」というドイツを舞台とした映画の事を書きましたが、そこに登場する国家的宗教であったルーテル教会が、後にナチスの台頭を許してしまい、真理を知ったボンフェッファーなどの少数のキリスト者を除いて、多くのキリスト者をヒトラーに従わせることとなったのです。奴隷解放を訴え、北部の指導者であったアブラハム・リンカーンは、神学校も出て牧師資格を持った人でした。彼は、組織宗教に毒された人ではなく、「万民平等」という真理を示された人でした。日本のキリスト教界にも、真理を示された人がさらに多く登場することを願っています。

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