バイデン氏が大統領に就任しました。年齢も80歳近くであり、わたしには一見して弱弱しそうに見えたバイデン氏でしたが、力強い演説を行いました。日本の政治家と違って、原稿を見たりせず、側近の顔をうかがったりせず、堂々と自分の言葉で、長時間、国民に語りかけました。途中で、同時通訳の方の音声のボリュームが上げられたため、本人の声が多少聞きにくくなりましたが、立派な内容でした。わたしの印象では、この演説の中のキーワードは、三つに要約できると思いました。それは、DEMOCRACY(民主主義),UNITY(一致),GOD(神)の三つです。民主主義が強調されたのは、アメリカ建国の原理、独立戦争までおこしてイギリスの王権と闘った根本精神に立ち返ることでした。それは、トランプ政権が生み出した、格差や差別主義、分断主義に抗する、すべての民の平等の権利を確認する姿勢でした。次に、一致というのは、トランプ政権によって生み出された、相互不信や憎しみから解放されて、アメリカの新しい歴史のページを一致協力して書き込んでいこうという提案であり、バイデン氏は自分の大統領就任を快く思わない人々にも最善を尽くす大統領でありたいと語りました。そして、最後のGOD(神)は、(MAY)GOD BLESS AMERICA!という、祝祷にも似た表現に用いられており、最終的権限は人間の政治体制や国家ではなく、すべてを統治する創造主に帰することを明らかにしていました。この三つの頭文字をまとめると、DUGであり、掘り起こされた、という意味になるから面白いものです。アメリカ人が忘れかけていた、価値観が再度掘り起こされたのです。