わたしの好きな讃美歌7番(日本基督教団出版局)
この讃美歌のメロディーも好きですが、歌詞が特に素晴らしいと思います。これは、ジョン・サムエル・ボウリ―・モンセルという、19世紀のイギリス人牧師の作詞によります。ボウリ―は、なんと300曲もの讃美歌を作詩したそうです。ウィキペディアで略歴を見ると、1875年に64歳で亡くなるまでに、いろいろと悲しい経験をしています。長男は、まだ18歳に時に、クリミア戦争に従軍する途中のイタリア沖で船が沈没して亡くなっています。また、長女も28歳で亡くなっています。親として、子供に先立たれることは悲しいことです。モンセルの歌詞には、なにかしら人生の痛みのようなものが感じられるのは、そのせいかも知れません。今回は、特に2節を見てみたいと思います。私訳も参考のためにカッコの中に入れておきます。
日本語歌詞
2ゆだねまつるわが重荷を、主はかわりて負いたもう。なやみおおき世の旅路も、主のいませばやすけし。
2 Low at his feet lay your burden of carefulness, (あなたの心配の重荷を彼の足下へ置きなさい)
high on his heart he will bear it for you,(彼は胸の上高く、それを負ってくださるでしょう)
comfort your sorrows and answer your prayerfulness,(あなたの悲しみをなぐさめ、絶えざる祈りに答えてくださるでしょう)
guiding your steps in the way that is true.(あなたを真実な道へと一歩一歩導きながら)
英文では美しい韻がふまれています。これら二つを比べてみて、更に感じたことがあります。それは、英文歌詞を日本語に訳した昔の人(賀川豊彦の息子、賀川純基)の深い信仰心と文学的才能です。最後の二行が、「なやみおおき世の旅路も、主のいませばやすけし。」となっているわけです。これは意訳なんですが、日本語として、原詩とまったく遜色ない輝きをはなっています。何度歌っても、目頭が熱くなる箇所です。この曲の英語の原題は、O worship the Lord in the beauty of holiness (聖なる美しさの中で主を礼拝しよう)ですが、本当に聖なる美しさを感じさせる曲です。