閑話休題

「星月夜」(starry starry night)という美しい曲を久しぶりに聞いた

2021/09/28

ユーチューブを検索していたら、70年代のアメリカのヒットソングがでてきて、その中に「ヴィンセント、星月夜」という、ドン・マクリーンが作詞作曲した曲がありました。学生の頃に聞いたことがありましたが、歌詞については深く考える事はありませんでした。改めて歌詞に注意しながら聞いてみると、これはオランダの画家ヴィンセント・ゴッホのことを歌った曲でした。ユーチューブの画面で見ると、曲の背景にゴッホの星月夜やその他の美しい絵が出てきます。そして、その中に、自ら命を絶ったゴッホの自画像もあります。この歌の歌詞の中に、「now I understand what you tried to say to me」という部分があります。ゴッホの自画像の藍色の彼の目を見ていると、自分も「今は、あなたが何を言いたかったかわかった」といいたい気持ちになるのです。その寂しそうな眼。しかし、自分自身や周囲の情景を澄み切った心で見つめていた眼。それが、あの永遠の傑作である夜空の星を描いた眼なのです。苦しむヴィンセントにとって、暗闇に優しく光る星々は、一つの慰めだったことでしょう。そして、その美しさを、彼はキャンバスに永久に留めたかったのでしょう。そして、実際にそのようになりました。おそらく、彼の孤独を、また精神病から来る様々な不自由さを受け止めてくれるのは星々だと感じたのでしょう。若いころには、父親と同じように牧師になろうと思っていたヴィンセントでした。しかし、厳しい勉強に挫折してしまい、その後は自虐におちいったのです。けれども、そんな弱い彼を見捨てない神の愛を、星を見ながら感じていたかもしれません。貧しい画家として、自ら命を絶った彼を、神は忘却の彼方に捨て去ることなく、数世紀後のわたしたちにも、その美を残してくださったのです。あたかも夜空の星が永遠であるかのように。彼の画も、人類が存続する限り大切にされるでしょう。わたしも、イスラエルに住んでいた時に、砂漠地帯の夜の星の美しさに胸を打たれた記憶があります。日本のように湿気がなく(年間降雨量20ミリ)、光を遮断したり朦朧とさせるものがないので、光の純粋さを見る事が出来るのです。旧約聖書に登場するアブラハムも、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。あなたの子孫はこのようになる」(創世記15章5節)という神の語りかけを聞きました。子供がなく、人生の行く末にたいして不安を持っていたアブラハムには慰めの言葉だったでしょう。まだ、聞いたことのない人がいるならば、是非、ドン・マクリーンのヴィンセント(starry starry night)を聞いてみてください。きっと、慰めを受けるでしょう。

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