閑話休題

岸田首相 公邸へ入居する予定、鍋島化け猫騒動

安倍首相も菅首相も住まなかった首相公邸に岸田首相が入居を決めました。これまでの首相が公邸に住まなかったのは、公邸には幽霊が出るという言い伝えがあるからです。歴史を遡れば、この公邸で2・26事件などの凄惨な事件が起こっており、その怨念が今も幽霊となって現れるというのです。驚くほど、前近代的な思考です。明治時代の文明開化を経験してないかのような人々が、国民の生活に係わる政治に従事していたことは、日本の保守性を示しているのではないでしょうか。今から400年以上前の、鍋島化け猫騒動の場合も、佐賀藩主でありながら、鍋島家に実権を奪われた龍造寺家の怨念が化け猫となって現出したと考えられています。確かに恨みや、非業の死をとげるということは、誰でも避けたいものでしょう。しかし、歴史上では、そのようなことは無数にあります。例えば、かつての合戦場であった関ケ原や長篠などに住む人は、いまでも幽霊を恐れて毎日を過ごしているのでしょうか。お釈迦様の話ですが、子供を亡くして悲嘆にくれる母親に、死人を出したことのない家を探し出しなさい、といった逸話に似ています。不幸を生まなかった場所などあるはずもありません。それが幽霊になって現れるならば、世界中のどの場所にも幽霊が溢れているでしょう。岸田首相が、そういった迷信を信じない人であることを望みます。余談ですが、聖地として知られているエルサレムに住んでいた時に、観光客のいない城壁の外を散歩していたら、道路わきに掘られた溝に、無数の人骨が層をなしていました。度重なる戦役や、墓地としての利用のために、これほどの人骨が埋まっているのだと知りました。だからと言って、エルサレムに幽霊が出るなどという人はいませんでした。人が生まれ、人が死ぬことは、それがどのような死であっても、神の摂理でしかありません。それを、怖がるのは、怖がる本人の魂の中に悟りがないからです。

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